腹圧 ≪上半身の前方の支柱≫
上半身には2つの支柱があります。
後方の柱・背骨(脊柱)
そして前方に腹圧です。
でも腹圧って何でしょう?
どう体を支えているのでしょう?
背骨が支柱として認識されやすいのに対して、腹圧が支柱というのは少し分かりにくいです。
それは背骨が「構造体」であるのに対して、腹圧は「力学体」だからです。
腹圧とは、腹部に縦に存在する「ラグビーボール状の構造物に相当する力学体」と言えます。
力学体とは力場を物に仮想した概念です。
つまり、物体として存在しているワケではないけど、物体のようにとらえると理解しやすいというものです。
例えば磁石の同極を近付けると反発し合いますが、磁石の端っこの周りに目に見えないバリアがあるように感じませんか?
これを「磁石の末端を覆う球体状の力学体」と表現できます。
では具体的には、どのようにして腹部にそのような力場が発生しているのか?
骨盤を地面、上半身を高床式住居に例えて説明します。
背骨を柱だと考えると、家に置き換えればこうなります。
柱が後方にあるので、バランスが保てず倒れてしまいます。
倒れないためには、重心のセンターまで柱をシフトさせてくる必要があります。
つまり背骨の基部である仙骨を重心のセンターまで前方シフトさせる事になるので、腹圧の弱い人は骨盤の前方シフトが起こります。
すると上半身は反った形になります。
これに対し腹圧があるモデルでは、家がボール状の物に支えられたような形になります。
このボールがしっかりしていれば、家が倒れる事はありません。
しかしボールが弱いと、家の片側(前方)が沈む形になります。
つまり前胸部が下垂した形になります。
そうするとノドも下に引っ張られる形になるので、結果的に顔を前方に突き出した形(前方頭位)になります。
腹圧が弱いと骨盤の前方突き出しと前胸部の下垂による前方頭位が同時に起こる形になります。
いわゆる猫背姿勢です。
腹圧は何によって高められるか?
腹圧は腹横筋というコルセット状の筋肉による側方と前方からの圧迫によって高められます。
ボールを横から握ると縦方向に伸びるのと同じ原理です。
コルセットの目的について、腰椎を固定するための物と認識している人は多いです。
もちろんその目的もあるのですが、コルセットの最大の目的は腹圧を高めて体重負荷を骨盤前方に分散させ、腰椎にかかる体重負荷を減らす事です。
腹横筋は天然のコルセットです。
上半身の安定の上で非常に重要な役割を担っています。
ちなみに赤ちゃんは腹横筋などの腹圧を高める筋力が弱く、お腹ポッコリで骨盤を前方に突き出した姿勢で立ちます。
それが色々動き回っている内に腹横筋などが強化されてきて、腹圧を使った上半身の安定性を獲得していきます。
腹圧について動画にもまとめてみました。