【セルフケア】ファーストポジション(胸郭後方の拡張)
体幹を丸める事がしっかり出来ない人は、背中の筋肉を過剰に使っている人がほとんどです。
また、上半身の動きに柔軟性がなくなってしまうのも特徴です。
背中のハリや疲労感
背骨の生理的湾曲のフラット化(フラットバック)
フラットバックによる肩こり・腰痛
呼吸機能の低下
呼吸機能の低下からくる疲労感・回復力の低下・集中力の低下
歩行時の上半身の動きの硬さ
などの原因となります。
そこで、丸める機能をしっかり高める為の最もシンプルな方法がこれです。
【ファーストポジション】胸郭後方の拡張
① 土下座のようなポジション
② 静かに鼻から息を吸いながら、前腕で床を押して胸を床から遠ざけるように
③ 鼻から息を吐く(胸は床から離れたまま)
④ みぞおちがおへそに近づくイメージで腹筋を使って、最後までしっかり吐き切る
③ 静かに鼻から息を吸う
④ 鼻から息を最後までしっかり吐き切る
繰り返し
※ 息を吸った時に背中をしっかり丸めて、吐く時にまたしぼんでいくのではなく、しっかり背骨のアーチを保って行う。
※ お尻が かかとから浮かないように注意。浮きそうになったら前腕で床をしっかり押してお尻を落とす。
【このエクササイズの目的】
① フラットバックの矯正
② 椎間板の代謝アップ
③ 体マップの獲得
④ 横隔膜機能の正常化
1つ1つ説明していきます。
① フラットバックの矯正
フラットバックとは背骨本来の生理的湾曲が失われて真っ直ぐな背骨になってしまっている状態です。
背筋群を過剰に使うと背中を反らすパターンになり、胸椎の丸まりが減ります。
それに伴って代償的に腰椎の反りも減ります。
この結果、胸椎以下の背骨がまっすぐ化、つまりフラットバックになります。
ちなみに矛盾するようですが、猫背でフラットバックという人も多いです。
このエクササイズは、背中を丸めた状態で行うので、背筋群の使いようがありません。
背筋群が過剰に働いている人は、背筋群を常に使おうとするクセがあるので、このエクササイズによって背筋群を使わないパターンを学習できます。
② 椎間板の代謝アップ
肋骨は上下の背骨と、その間の椎間板に関節を持っています。
背筋群を過剰に使っている人は、みぞおちが上った状態にあり、呼吸の際にもみぞおちの上下動をメインに使います。
つまり肺の前方に空気を多く取り込む呼吸パターンを使っているという事です。
このエクササイズでは前方は閉じた姿勢なので、肺の後方に空気を取り込む形になります。
肺の後方に空気を取り込む呼吸が出来るようになると、肋骨の根本部分に動きが起こり、この動きによって椎間板の圧が変動します。
この圧が椎間板のポンピングを起こし、椎間板内の老廃物を押し出し、そして外部の栄養豊富な水分を吸い込みます。
椎間板の健全性が保たれると胸椎の動きも保たれ、上半身全体の動きが改善します。
③ 体マップの獲得
肋椎関節(肋骨と背骨の関節)は 骨盤の関節(仙腸関節)と並んで、センサー(固有受容器)が多い関節です。
このセンサーは、固有受容覚といって体の地図を脳が把握する事に使われています。
写真を撮る際に「首をもうちょっと右に傾けて」など指示されたりするのは、固有受容覚のミスがあって、体の地図が不正確になっているからです。
この体マップは動きや痛みととても大きく関わっています。
肋椎関節の動きが回復すると体マップが正確になって、より正しく体を使えるようになり、肩こり・腰痛が起こりにくくなります。
④ 横隔膜機能の正常化
背筋群を過剰に使うとみぞおちを上げたような姿勢になりますが、みぞおちは横隔膜の付着部でもあります。
横隔膜は肺の下に位置するドーム状の筋肉で、収縮する事でドームがつぶれ、弛緩すると腹部の圧力で再びドーム形成します。
つまり肺の下でピストンを上下させるイメージです。
このピストン運動によって肺に空気が吸い込まれたり吐き出されたりしています。
横隔膜は呼吸の7〜8割を担う、呼吸において最も重要な筋肉です。
ところがみぞおちが上ってしまうと、横隔膜の付着部自体が広がってしまうので、その分アーチが沈む事になります。
そうするとピストンできる距離が少なくなるので呼吸機能が低下してしまいます。
このエクササイズによって背筋群の過剰な緊張がリセットされると、上がっていたみぞおちも下がってくるので、横隔膜が正常化されて呼吸の改善が起こります。
以上がこのエクササイズの目的です。
簡単なエクササイズですが、日常生活の様々なシーンで重要な働きに関係する機能を回復できるエクササイズです。
特にデスクワークの方にはお勧めです。