がん治療の現況
小林麻央さんが亡くなられましたね。
深刻なのではと思ってはいましたが、本当に残念です。
この報道はとても慎重に、大切に報じられたと感じていて、多くの関係者に本当に慕われた方だったのだなと、お人柄の良さが垣間見えました。
人生の豊かさは人生の長さに比例するとは限りません。
スティーブ・ジョブズの最後のメッセージに、
他の人の目には、私の人生は、成功の典型的な縮図に見えるだろう。
しかし、今思えば仕事をのぞくと喜びが少ない人生だった。
(中略)
あなたの人生がどのようなステージにあったとしても、誰もがいつか人生の幕を閉じる日がやってくる。
あなたの家族のために愛情を大切にして下さい。
あなたのパートーナーのために、あなたの友人のために。
そして自分を丁寧に扱ってあげてください。
他の人を大切にしてください。
スティーブ・ジョブス 1955年2月24日 - 2011年10月5日
とあります。
小林麻央さんの人生は短かったけど、ご本人が仰るように豊かに生きたのだと思います。
それでも残念なのは、がんの治療法は今日、目覚ましく発展してる最中にある事です。
「数年の差で結果は違ったのでは?」と思わずにいられない事です。
最新医療の1つにプレシジョン・メディシンというものがあります。
遺伝子検査によって患者さん個人レベルの最適な治療を行う医療の事です。
今までは胃がんには胃がん用の抗がん剤を使っていたのが、同じ胃がんでもどの遺伝子が問題をおこしているかを特定して、その問題にピンポイントに作用する薬を使用する事で、副作用は少なく効果は高い治療成果が期待できるようになってきているようです。
例えるなら今までの抗がん剤は、開かなくなったドアをぶっ壊して開ける方法だったのに対して、
プレシジョン・メディシンではぴったり合う鍵を見つけて開けるイメージです。
ただし最新医療ならではの課題もあります。
問題の遺伝子を特定できたとしても、それに有効な薬がまだ開発されていないケースもあります。
まだ保険適用ではない等の問題もあります。
しかしこのような新たなアプローチによってがんの脅威は縮小傾向にある、今は正にその過渡期だと思います。
また、iPS細胞によるがん治療も研究も進んでいるようです。
がんに有効な免疫としてキラー細胞というリンパ球があります。
これをiPS細胞で作り、がん患者さんに戻す事で、がんを叩くという研究です。
免疫の最も基本的な機能は「セルフorノットセルフ」つまり自己と非自己の判別です。
しかしがん細胞は元々が自己なので、免疫機能が異物と判断しにくく、免疫が働きにくいという点がとても厄介です。
それに対してこのiPS細胞のがん治療では、キラー細胞にCAR(カー)という遺伝子を加える事で、がんを認識しやすくする研究も行っているようです。
iPS細胞によるがん治療は、3年以内の臨床試験段階を目指しているという事で、本当に数年後にはがん治療の常識は大きく変わっているのかも知れません。
100年前の平均寿命は31歳だったそうです。
もちろん当時の新生児の生存率が低かった事が、大きく平均値を下げる要素の1つではあります。
それを差し引いても近年の医学の進歩は目覚ましいものがあります。
せっかく医療が進歩して長生き出来るようになった現代です。
長生きだけではなく、より豊かな人生になるよう1日1日をしっかり生きましょう。